下水汚泥の現状や課題、各自治体が取り組んでいる再生利用事例など、紹介しています。
下水道普及率の増加に伴い、日本では、下水汚泥の発生量が増加傾向にあります。2017年度時点での産業廃棄物の種類別排出量については、下記のデータが報告されています。
1位:汚泥 約1億7,069万トン(44.5%)
2位:動物のふん尿 約7,789万トン(20.3%)
3位:がれき類 約5,977万トン(15.6%)
さまざまな産業廃棄物の中でも、汚泥の量は圧倒的に多く、その割合は全体の45%ほど。しかしながら、発生量が増える一方で、年々、汚泥のリサイクル化も活発化しています。
1995年 目標27% 実績30%
2002年 目標35% 実績60%
2002年時点では、目標をはるかに上回るリサイクル率を達成し、2004年時点では、下水汚泥全体のリサイクル率も上がっています。その理由としては、「循環型社会形成推進基本法」で汚泥の再使用、再生利用することが求められ、セメント原料化の開発・普及が急速に進んだことが考えられます。
下水汚泥のリサイクル率は向上しつつあるものの、一部では、まだ埋め立て処分が行われているのが現状です。現在、日本では下水汚泥のリサイクル化において、下記の取り組みが行われています。
下水汚泥をはじめ、生ごみ、し尿、浄化槽・農業集落排水汚泥などを消化槽で一括処理。発生したたメタンは、下水汚泥の乾燥や、消化槽の加温用として使用。乾燥汚泥は、肥料として有効活用しています。
横浜市北部汚泥資源化センターにて、ガスエンジン、りん酸型燃料電池によるガス発電を実施。発生する下水道バイオガスのうち、ガスエンジンにより約2,200万kWh、りん酸型燃料電池により約150万kWhを発電し、センターの消費電力量の約8割をまかなっています。
下水道バイオガスを精製し、隣接する都市ガス工場へ供給。精製ガス量は、年間50万㎥(一般家庭1700戸分相当)、年間840t-CO2の削減効果を達成しています。
下水処理場などから出た脱水汚泥を堆肥化する施設「みなべコンポストセンター」を設置。
堆肥化プラントは中部エコテック株式会社の密閉型攪拌方式(コンポ)を使用し、汚泥を菌の力で分解、乾燥させています。
できた堆肥は別の機械でペレット化して製品として地域の農家に販売。外部委託から同施設での処理に切り替えることでコスト削減も期待されます。
堆肥化を行う方法は、撹拌に機械を使う方法(密閉・開放)、堆肥舎で堆積する方法の2種類、3タイプ。
どの方法が適しているかは、何を重視するかで異なります。
断熱密閉された円形の発酵槽を使用し、全自動で撹拌作業を行い、堆肥化させる方式
発酵⽇数 (⼀次処理) |
10⽇〜16⽇ |
---|---|
施設 必要⾯積 |
⼩規模 |
臭気 対策 |
◎ 容易 |
適⽤ 畜種 |
養豚・養鶏 (酪農) |
初期投資 費⽤ |
⼤ |
材料を定期的に機械で撹拌し、少しずつ移動させながら堆肥化させる方式
発酵⽇数 (⼀次処理) |
30⽇〜60⽇ |
---|---|
施設 必要⾯積 |
中規模 |
臭気 対策 |
△ 難しい |
適⽤ 畜種 |
養豚・養鶏 (酪農・肥育牛) |
初期投資 費⽤ |
⼤ |
ショベルローターなどを運転して切り返しを行い、長時間の堆積で堆肥化する方法
発酵⽇数 (⼀次処理) |
30⽇〜90⽇ |
---|---|
施設 必要⾯積 |
大規模 |
臭気 対策 |
△ 難しい |
適⽤ 畜種 |
酪農・肥育牛 (養豚) |
初期投資 費⽤ |
少 |
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