堆積式(堆肥舎)の堆肥化の特徴、メリット、デメリット、価格・コストなど、詳しくお伝えしています。
土地が広く、臭気対策より初期コストを押さえたい方におすすめ
堆積式(堆肥舎)とは、密閉型攪拌方式、開放式とは違い、人力で堆肥化させる方式です。堆肥化専用の堆肥舎を作り、ショベルローダーを使って、材料(養豚、肥育牛などの糞尿)の搬入・搬出・切り返しを行います。
堆肥舎には、複数の発酵槽を作るための広いスペースが必要です。中小規模の農家で3槽程度が多く、1つの槽に1ヶ月程度、ふん量を貯留する設計で、堆肥化には3ヶ月ほどの長い時間がかかります。また、こまめな切り返しや通気の確保など、害虫を防ぐための工夫も必要です。
ショベルローダーなど、切り返し用の機械は、すでに持っている酪農家さんも多いため、堆肥舎の建設のみで手軽に導入できます。ただし、建設費をケチって小さな堆肥舎にすると、十分な切り返しが行えないので注意が必要。堆肥化方式の中では、最も初期投資費用が少なく、広いスペースさえあれば、導入しやすい方法です。
使用する機械は、ローダーだけなのでメンテナンスが容易にできるのもメリットです。堆肥舎自体も耐用年数が長く、一度、投資すれば、施設の維持費はほとんどかかりません。
堆肥舎は半屋外の設計になるため、悪臭が漏れてしまうのが難点です。対策としては、複数の薬剤や脱臭装置を使ったり、ビニルハウスで堆肥舎ごと覆う方法などがありますが、いずれの場合も、臭気対策だけで大きなコストが発生します。近隣から苦情が来るケースも多いので、近くの農家と協力したり、撹拌の時間帯を考慮するなどの配慮を行うと良いでしょう。
材料の搬入・搬出・切り返し時は、すべて人がショベルローダーに乗って操作しなければなりません。切り返しは、通気装置がある堆肥舎では、2週間に1度、ない場合は1週間に1度行うのが基本。サボって放置すると、害虫が発生するので注意しましょう。通常業務に加えてこれらの作業が必要となるため、人員コストがかかります。
外で撹拌を行うため、冬場や寒冷地では発酵が進まないことがあります。天候の影響も受けやすいため、年間を通じて安定した運転をするのは難しいかもしれません。
参照元:(PDF)長野県庁 低コスト家畜排せつ物処理・保管施設のご紹介(https://www.pref.nagano.lg.jp/enchiku/sangyo/nogyo/chikusan/haisetsubutsu/ichiran.html)
堆肥化を行う方法は、撹拌に機械を使う方法(密閉・開放)、堆肥舎で堆積する方法の2種類、3タイプ。
どの方法が適しているかは、何を重視するかで異なります。
断熱密閉された円形の発酵槽を使用し、全自動で撹拌作業を行い、堆肥化させる方式
発酵⽇数 (⼀次処理) |
10⽇〜16⽇ |
---|---|
施設 必要⾯積 |
⼩規模 |
臭気 対策 |
◎ 容易 |
適⽤ 畜種 |
養豚・養鶏 (酪農) |
初期投資 費⽤ |
⼤ |
材料を定期的に機械で撹拌し、少しずつ移動させながら堆肥化させる方式
発酵⽇数 (⼀次処理) |
30⽇〜60⽇ |
---|---|
施設 必要⾯積 |
中規模 |
臭気 対策 |
△ 難しい |
適⽤ 畜種 |
養豚・養鶏 (酪農・肥育牛) |
初期投資 費⽤ |
⼤ |
ショベルローターなどを運転して切り返しを行い、長時間の堆積で堆肥化する方法
発酵⽇数 (⼀次処理) |
30⽇〜90⽇ |
---|---|
施設 必要⾯積 |
大規模 |
臭気 対策 |
△ 難しい |
適⽤ 畜種 |
酪農・肥育牛 (養豚) |
初期投資 費⽤ |
少 |
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