農作物の成長を促すためには、土に堆肥を与え、作物の栄養と健康の維持が必要です。
ペレット堆肥は、従来の堆肥で問題視されていた臭いや扱いにくさを改良した肥料です。
ここでは、ペレット堆肥の特徴とメリット・デメリットについて詳しく解説していきます。
ペレット堆肥は、牛糞・豚糞・鶏糞など家畜の糞尿を発酵させ、機械で圧縮・乾燥させた肥料です。水分が少なく乾燥しているため、品質保持が良好で栄養バランスも安定しています。また、従来の肥料より軽量なことに加え、直径5mm程度の粒状に成形されているため、化学肥料的感覚で均一に散布しやすい特徴もあります。
ペレット堆肥は扱いやすさを追求し、農作業の労力削減に貢献する肥料といえます。
しかし、製造面などでデメリットもあります。
以下で、ペレット堆肥のメリット・デメリットについて見ていきましょう。
上記がペレット堆肥のメリットです。先述のとおりペレット堆肥は、水分が少なく乾燥しているため、従来の堆肥に比べ軽量です。そのため、堆肥を運搬する労力を削減できるメリットがあります。
また、ペレット堆肥は粒度が均一のため、ブロードキャスターやライムソワーといった汎用的な機械で散布でき、小規模な農園や山間部で、大型機械の使用が困難な場合でも導入しやすいメリットも挙げられます。
ペレット堆肥は、扱いやすい反面上記のようなデメリットもあります。
家畜糞をペレット堆肥の原料とする場合、各地域の酪農場から家畜糞を仕入れる必要があり、都度運搬車が必要になれば、製造コストがかかりやすくなります。
人件費や機材コストがかかる分、ペレット堆肥の価格も上がり、農家によっては従来の肥料から切り替えるのは困難になるでしょう。
ペレット堆肥を導入することによって、収穫量向上や労力削減につながった事例を紹介します。
麦・大豆の輪作において、堆肥を投入する時間的余裕がないことが課題となっていましたが、ペレット堆肥を導入することにより、年間の輪作収入・地力が向上しました。
散布労賃 | 小麦集荷価格 | 大豆集荷価格 | 年間収入 | |
ペレット堆肥 | 9,496円 | 80,730円 | 68,755円 | 121,202円 |
---|---|---|---|---|
従来の堆肥 | 8,937円 | 71,325円 | 65,766円 | 119,806円 |
参照元:農林水産省 ペレット堆肥(混合堆肥複合肥料)による栽培事例[pdf](https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/attach/pdf/pellet_kouiki-2.pdf)
従来は追肥の必要があったキャベツ栽培において、ペレット堆肥を導入したことにより収穫量を保ったまま労力を省くことができ、肥料のコストを削減することに成功しました。
追肥(kg/10a) | |
ペレット堆肥 | なし |
---|---|
従来の堆肥 | 高度化成63kg |
参照元:農林水産省 ペレット堆肥(混合堆肥複合肥料)による栽培事例[pdf](https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/attach/pdf/pellet_kouiki-2.pdf)
堆肥化を行う方法は、撹拌に機械を使う方法(密閉・開放)、堆肥舎で堆積する方法の2種類、3タイプ。
どの方法が適しているかは、何を重視するかで異なります。
断熱密閉された円形の発酵槽を使用し、全自動で撹拌作業を行い、堆肥化させる方式
発酵⽇数 (⼀次処理) |
10⽇〜16⽇ |
---|---|
施設 必要⾯積 |
⼩規模 |
臭気 対策 |
◎ 容易 |
適⽤ 畜種 |
養豚・養鶏 (酪農) |
初期投資 費⽤ |
⼤ |
材料を定期的に機械で撹拌し、少しずつ移動させながら堆肥化させる方式
発酵⽇数 (⼀次処理) |
30⽇〜60⽇ |
---|---|
施設 必要⾯積 |
中規模 |
臭気 対策 |
△ 難しい |
適⽤ 畜種 |
養豚・養鶏 (酪農・肥育牛) |
初期投資 費⽤ |
⼤ |
ショベルローターなどを運転して切り返しを行い、長時間の堆積で堆肥化する方法
発酵⽇数 (⼀次処理) |
30⽇〜90⽇ |
---|---|
施設 必要⾯積 |
大規模 |
臭気 対策 |
△ 難しい |
適⽤ 畜種 |
酪農・肥育牛 (養豚) |
初期投資 費⽤ |
少 |
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