嫌気性発酵は、かつて行われていた堆肥の生産方法です。堆肥化を行う上で知っておきたい嫌気性発酵について紹介します。
嫌気性発酵とは、空気を遮断した無酸素の状態で発酵を行う堆肥の製造方法です。分解の工程でメタンガスが発生するため、「メタン発酵」という呼び名でも知られています。家庭菜園や農場では、有機物に微生物群を混ぜて発酵させた「ぼかし肥料」がこの嫌気性発酵によって作られます。
分解の工程で消化液が発生し、消化液には栄養分が豊富に含まれることから、液肥としての利用が可能になります。資材に微生物群を混ぜ込んで密閉状態にすることで、酸素を減らし嫌気性の状態での発酵が可能になります。
嫌気性発酵で堆肥をつくるメリットについて、詳しくみていきましょう。
嫌気性発酵では、酸素を取り込まないように密閉状態にするのがポイントです。好気性発酵はそのつど酸素を堆肥全体に行き渡らせなくてはなりませんが、嫌気性発酵にその手間はかかりません。
撹拌の必要がなく、コンポストに有機物を投入するだけで簡単に発酵が行えるというメリットがあります。
好気性発酵は堆肥が酸素を取り入れて、微生物の分解作用により急速に分解熱が生まれていきます。このとき、水も一緒に蒸発して発酵が行われます。
これらの分解は急速に行われ、そのスピードにあわせて栄養分も失われる可能性がありますが、嫌気性発酵は無酸素状態のため急速な分解が行われず、そのぶん栄養分が減りにくくゆるやかに進行していくという特徴があります。
好気性発酵は酸素を好む微生物が酸素を使って堆肥を分解し、熱と一緒に炭酸ガスや硫黄酸化物を空気中に放出します。この物質が温暖化や大気汚染の原因になっているのではないかと考えられています。
ただし、嫌気性細菌の中には温室効果ガスであるメタンを生成する菌も存在するため、嫌気性発酵を行う際には注意が必要です。
嫌気性発酵で堆肥をつくるデメリットについても詳しくみていきましょう。
密閉のみで行う嫌気性発酵は、酸素がゼロになるわけではありません。大量の堆肥を完全な無酸素状態に置くことは困難であり、100%の嫌気性発酵が成功するわけではない点に注意が必要です。現在では、手軽に発酵が行える好気性発酵が堆肥生産の主流となっています。
嫌気性発酵は酸素を遮断させる工程から酸素不足を起こし、嫌気性の有用な微生物が増える一方で腐敗菌や雑菌も増加しやすい環境となります。
好気性発酵に比べて分解力が遅いために雑菌の繁殖に負けてしまう問題や、嫌気性微生物の活動によって悪臭物質が生まれると、発酵にあわせて悪臭がどんどん広がっていきます。臭いに関する問題も、嫌気性発酵のデメリットといえるでしょう。
発酵には、嫌気性発酵と好気性発酵があります。嫌気性発酵は空気を嫌う微生物による発酵ですが、好気性発酵は空気を好む微生物による発酵です。好気性発酵は、空気がないと発酵を促す微生物が死んでしまうため、定期的に攪拌する必要があります。また、通気性のいい容器での保管もポイントです。水分量は50%から60%。発酵熱で水蒸気になってしまうため、水を与えることもあります。また、温度が高くなるのも特徴のひとつ。65℃まで上がることがあります。
堆肥化を行う方法は、撹拌に機械を使う方法(密閉・開放)、堆肥舎で堆積する方法の2種類、3タイプ。
どの方法が適しているかは、何を重視するかで異なります。
断熱密閉された円形の発酵槽を使用し、全自動で撹拌作業を行い、堆肥化させる方式
発酵⽇数 (⼀次処理) |
10⽇〜16⽇ |
---|---|
施設 必要⾯積 |
⼩規模 |
臭気 対策 |
◎ 容易 |
適⽤ 畜種 |
養豚・養鶏 (酪農) |
初期投資 費⽤ |
⼤ |
材料を定期的に機械で撹拌し、少しずつ移動させながら堆肥化させる方式
発酵⽇数 (⼀次処理) |
30⽇〜60⽇ |
---|---|
施設 必要⾯積 |
中規模 |
臭気 対策 |
△ 難しい |
適⽤ 畜種 |
養豚・養鶏 (酪農・肥育牛) |
初期投資 費⽤ |
⼤ |
ショベルローターなどを運転して切り返しを行い、長時間の堆積で堆肥化する方法
発酵⽇数 (⼀次処理) |
30⽇〜90⽇ |
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施設 必要⾯積 |
大規模 |
臭気 対策 |
△ 難しい |
適⽤ 畜種 |
酪農・肥育牛 (養豚) |
初期投資 費⽤ |
少 |
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