石灰資材は、種類や施用のタイミングを正しく守ることでより効果が期待できます。石灰資材を使用するにあたって、できることや種類について知っておきましょう。ここでは石灰資材でできることと種類、そして堆肥との施用方法を紹介します。
アルカリ性の成分として知られるカルシウムは、水に溶けやすい性質をもっています。雨の多い日本は土壌からアルカリ成分が溶け出て、酸性に傾きやすい傾向があるのです。あまりに酸性に傾いている土壌では、作物が育ちません。
そこで、アルカリ成分である石灰資材を投入すると、酸性に傾いている土壌が中和されて作物が育成しやすいpH値に調整してくれます。
石灰資材の主な成分は、カルシウムです。施用によって土壌の中のカルシウム量が増加します。ただし石灰資材の中でもカルシウムの補給ができるのは苦土石灰に限られます。他の石灰だとアルカリ性が強く、植物に吸収されにくい性質があるため、カルシウム補給には向いていません。カルシウム補給を目的とする際は石灰資材の種類に注意しましょう。
農業用とされている石灰資材は、主に3つの種類があります。
炭酸カルシウムが主な成分で、若干量の水酸化マグネシウムも含まれています。カキの殻や卵の殻などが当てはまります。
アルカリ分は40~50%で水に溶けにくいため、散布後はすぐに播種・定植ができます。また微生物資材を使用する際に組み合わせるのに向いている石灰資材です。
ただし他の石灰資材と比較するとコストが少し高めなので、費用対効果を考えて検討しましょう。
苦土はマグネシウムを指しています。そして石灰はカルシウムのことなので、マグネシウムとカルシウムの2つを含んでいるのが、苦土石灰です。石灰資材の中ではよく用いられており、植物にとっても必要な成分であるマグネシウムとカルシウムが同時に補えます。
水酸化マグネシウムを主成分としている石灰資材で、アルカリ分は60~70%と強いアルカリ性の資材です。殺菌力が高く消毒効果が期待できるでしょう。また酸性に傾いた土を中和するという目的では、即効性があってすぐに効果が出やすいです。
アルカリ分が強いという性質上、皮膚や粘膜に触れると炎症を引き起こす恐れがあります。目に入って失明したという事例もあるため、ゴーグル・手袋・マスクを着用しましょう。
石灰資材と堆肥は、どの石灰資材であっても一緒には施用しないほうが良いとされています。その理由は、一緒に施用すると石灰のアルカリ分と肥料の窒素分が反応し、ガスになってしまうからです。また場合によっては作物の酸素不足が生じることもあります。
せっかくの肥料が無駄になるため、どちらも施用する際は期間を空けるようにしましょう。石灰資材によって異なりますが、苦土石灰の場合は1週間、消石灰の場合は2週間ほどが目安です。
堆肥化を行う方法は、撹拌に機械を使う方法(密閉・開放)、堆肥舎で堆積する方法の2種類、3タイプ。
どの方法が適しているかは、何を重視するかで異なります。
断熱密閉された円形の発酵槽を使用し、全自動で撹拌作業を行い、堆肥化させる方式
発酵⽇数 (⼀次処理) |
10⽇〜16⽇ |
---|---|
施設 必要⾯積 |
⼩規模 |
臭気 対策 |
◎ 容易 |
適⽤ 畜種 |
養豚・養鶏 (酪農) |
初期投資 費⽤ |
⼤ |
材料を定期的に機械で撹拌し、少しずつ移動させながら堆肥化させる方式
発酵⽇数 (⼀次処理) |
30⽇〜60⽇ |
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施設 必要⾯積 |
中規模 |
臭気 対策 |
△ 難しい |
適⽤ 畜種 |
養豚・養鶏 (酪農・肥育牛) |
初期投資 費⽤ |
⼤ |
ショベルローターなどを運転して切り返しを行い、長時間の堆積で堆肥化する方法
発酵⽇数 (⼀次処理) |
30⽇〜90⽇ |
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施設 必要⾯積 |
大規模 |
臭気 対策 |
△ 難しい |
適⽤ 畜種 |
酪農・肥育牛 (養豚) |
初期投資 費⽤ |
少 |
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