農家が求める堆肥の条件や、良質な堆肥を作るためのコツ、見分け方をまとめました。
完熟している堆肥には、アンモニア臭などの嫌な臭いがしないのが特徴。堆肥特有の優しい臭いがします。また、発酵途中の堆肥では、水分含有量が多くベトベトしますが、完熟した堆肥は、手にとって握ってみると、わずかにサラサラとしています。
堆肥化を行う際は、たんに家畜の糞尿やゴミを処理するだけでなく、製品として売り物になる良質な堆肥を作ることも大切です。どの作物にも共通して農家が求める堆肥としては、次のような条件が挙げられています。
堆肥化を行う際は、これらの条件をクリアした堆肥を作る必要があります。
良質な堆肥を作るための基本が、好気性微生物が活動できる「好気性発酵」を促すこと。堆肥を作る際は、好気性発酵を促す次の3つのポイントに注意しましょう。
堆肥づくりで重要となるのが、通気性の確保です。好気性微生物が活動をするための「酸素」を供給するのはもちろん、病原菌や害虫、悪臭を防ぐ目的も兼ねています。家畜ふんは、そのまま堆積しても内部に空気が入り込まないため、オガクズなどの副資材を混ぜたり、定期的に切り返しや撹拌を行うことで通気性を確保します。定期的に切り返しを行うのが大変な場合は、自動で撹拌を行ってくれる密閉型攪拌方式(コンポ)や、開放式(ロータリー・スクープ攪拌)を導入する方法があります。
適切な水分量の目安は、牛ふんなら70%、豚ふん・鶏ふんなら60%ほど。水分が多すぎると、通気性が悪くなったり、微生物の増殖が抑制されます。切り返しを行う場合は、オガクズなどの副資材を混ぜて水分調整をします。自分で水分調整をするのが難しい場合は、密閉型攪拌方式(コンポ)であれば、副資材や水分調整不要で発酵できます。
病原菌、寄生虫、雑草種子などを不活性化させるには、60度以上の温度が必要です。とくに冬場や寒冷地方では、発酵が進みづらくなるので、外気の影響を防いだり、高温の通気を行って温度管理をします。ただし、80度以上の高温になると、アンモニアが大気中に放出されることで、効用の低い堆肥に…。切り返しと水分調整を行って、適温を保ちます。通気性の確保や水分調整同様、密閉型攪拌方式(コンポ)の場合、温度調整は必要ありません。
堆肥化を行う方法は、撹拌に機械を使う方法(密閉・開放)、堆肥舎で堆積する方法の2種類、3タイプ。
どの方法が適しているかは、何を重視するかで異なります。
断熱密閉された円形の発酵槽を使用し、全自動で撹拌作業を行い、堆肥化させる方式
発酵⽇数 (⼀次処理) |
10⽇〜16⽇ |
---|---|
施設 必要⾯積 |
⼩規模 |
臭気 対策 |
◎ 容易 |
適⽤ 畜種 |
養豚・養鶏 (酪農) |
初期投資 費⽤ |
⼤ |
材料を定期的に機械で撹拌し、少しずつ移動させながら堆肥化させる方式
発酵⽇数 (⼀次処理) |
30⽇〜60⽇ |
---|---|
施設 必要⾯積 |
中規模 |
臭気 対策 |
△ 難しい |
適⽤ 畜種 |
養豚・養鶏 (酪農・肥育牛) |
初期投資 費⽤ |
⼤ |
ショベルローターなどを運転して切り返しを行い、長時間の堆積で堆肥化する方法
発酵⽇数 (⼀次処理) |
30⽇〜90⽇ |
---|---|
施設 必要⾯積 |
大規模 |
臭気 対策 |
△ 難しい |
適⽤ 畜種 |
酪農・肥育牛 (養豚) |
初期投資 費⽤ |
少 |
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