堆肥は、農業や家庭菜園において作物の成長を促すために欠かせない肥料です。
堆肥は、土壌に住む数多くの微生物の働きが要になるため、微生物が活発に活動できる環境づくりが質の良い堆肥づくりに重要です。
ここでは、堆肥と微生物の関係性について詳しく説明しています。
堆肥は、土壌微生物が動植物の死骸や廃棄物などの有機物を分解することによってつくられる肥料です。
微生物によって有機物が分解される過程は、大きく糖分解、セルロース分解、リグニン分解に分かれます。堆肥化の過程で生じる発酵熱によって温度が変化すると、高温化で繁殖する微生物が活動し、ミミズや小動物などが生育しやすい適温環境へと変化します。
良質な堆肥は、複数の微生物が関わり、分解を繰り返すことでつくられます。
堆肥づくりで活躍する土壌微生物は数多く存在します。以下で、主な微生物とその働きについて見ていきましょう。
糸状菌は、堆肥づくりの準備を整える役割を担う微生物です。
糸状菌が比較的分子の大きい炭水化物や糖を分解することで、他の微生物がアミノ酸などのエネルギーを生成できるようになります。
有機物を分解する初期段階である、15〜40℃の温度を好む傾向があり、発酵により熱が生じて50℃以上の温度になってくると、数が減少してきます。
納豆菌はタンパク質を分解してアミノ酸を作り、土の団粒化の形成のために働く微生物です。納豆菌は有機物のセルロースやタンパク質、油分を分解するものも存在し、30〜65℃の温度下で活動します。また、納豆菌は農作物の敵となるカビやヨトウムシの防除効果が期待できる「アミラーゼ」と呼ばれる酵素を生成し、植物ホルモンを生成する役割も果たします。
乳酸菌は、殺菌作用を持つ微生物で、糖をエサにして増殖します。
雑菌を抑制する働きを担い、有機質肥料の腐敗防止や病気予防など、植物の健康を保つために働く微生物です。
また、土壌中のミネラルを可溶化(混ざり合わない二つの液体を溶解する)し、農作物が栄養を吸収しやすい形にする役割もあります。
土壌微生物が増殖しやすい環境を作ることで、柔らかい土の生成や農作物の連作障害の防止、病気の予防などのメリットがうまれます。
土壌微生物を増やすためには、定期的に雑草を刈り取る、畑に米ぬかの散布、輪作などが挙げられます。堆肥の使用と並行することで、土壌微生物が増殖しやすい環境づくりにつながり、農作物の成長を効率良く促すことができるでしょう。
堆肥化を行う方法は、撹拌に機械を使う方法(密閉・開放)、堆肥舎で堆積する方法の2種類、3タイプ。
どの方法が適しているかは、何を重視するかで異なります。
断熱密閉された円形の発酵槽を使用し、全自動で撹拌作業を行い、堆肥化させる方式
発酵⽇数 (⼀次処理) |
10⽇〜16⽇ |
---|---|
施設 必要⾯積 |
⼩規模 |
臭気 対策 |
◎ 容易 |
適⽤ 畜種 |
養豚・養鶏 (酪農) |
初期投資 費⽤ |
⼤ |
材料を定期的に機械で撹拌し、少しずつ移動させながら堆肥化させる方式
発酵⽇数 (⼀次処理) |
30⽇〜60⽇ |
---|---|
施設 必要⾯積 |
中規模 |
臭気 対策 |
△ 難しい |
適⽤ 畜種 |
養豚・養鶏 (酪農・肥育牛) |
初期投資 費⽤ |
⼤ |
ショベルローターなどを運転して切り返しを行い、長時間の堆積で堆肥化する方法
発酵⽇数 (⼀次処理) |
30⽇〜90⽇ |
---|---|
施設 必要⾯積 |
大規模 |
臭気 対策 |
△ 難しい |
適⽤ 畜種 |
酪農・肥育牛 (養豚) |
初期投資 費⽤ |
少 |
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