循環型社会や持続可能な社会を目指すとき、畜産業から排出される糞尿や農業から排出される野菜の残渣をリサイクル利用することは注目されています。そのなかで、未利用の畜産や農業から排出される有機資源から堆肥の生産につなげることが大切になっています。この有機資源から堆肥生産の増進を加速するために共同利用堆肥化施設の設置が進んでいます。ここでは、この共同利用堆肥化施設について紹介しています。
市町村や農協でない農家を構成員とする組合などが共同で運営する堆肥化施設を、共同利用堆肥化施設といいます。平成11年に環境3法が家畜の糞尿の適切な処理を義務付けたため、個々の畜産農家が堆肥化処理を行うことが必要になりました。しかし、畜産農家の労働力の不足、堆肥化施設への新規投資が、畜産経営を圧迫するおそれがあります。そこで、畜産農家などが共同して、有機資源を堆肥化するため、共同で堆肥化施設を設立し、その利用を図る流れになっています。
この共同利用堆肥化施設では、牛糞、豚糞、鶏糞、農産廃棄物を主原料として、堆肥を生産しています。ただ、稼働率が低迷している共同利用堆肥化施設も存在するために、設置するためには、将来的な運営について十分考えることが必要です。
全国の共同利用堆肥化施設の運営状況は、今現在どのようになっているでしょうか?共同利用堆肥化施設の赤字経営は、農協、市町村、公社が運営主体で、資本金が大きな施設です。逆に、黒字経営は、個人や法人が運営主体で、資本金が小さい施設です。ここから分かることは、共同利用堆肥化施設の設置や経営は、民間の小資本でも十分可能で、稼働率を上げることを重視すれば、ただ単に廃棄物の処分というだけでなく、採算の合うビジネスにもなり得ます。
共同利用堆肥化施設を設置するには、どのような手続きを取ればよいでしょうか?まず、共同利用堆肥化施設を設置・利用する農家のみが家畜の糞尿を堆肥化する場合は、家畜の糞尿産業廃棄物とはみなされず、産業廃棄物の中間処理施設の申請は必要ありません。た農家から処分量を徴収する場合は業として廃棄物処分を行うために、許可が必要になります。ただ、産業廃棄物とみなされるかどうかは、各自治体の判断になるため確認は必要です。
また、共同利用堆肥化施設の設置には、補助金の活用も可能です。農林水産省や各自治体の補助金で活用できそうなものを調査し、実際活用できるかを窓口に問い合わせてみるとよいでしょう。さらに、共同利用堆肥化施設の設置に有利な融資制度も設けられています。
堆肥化を行う方法は、撹拌に機械を使う方法(密閉・開放)、堆肥舎で堆積する方法の2種類、3タイプ。
どの方法が適しているかは、何を重視するかで異なります。
断熱密閉された円形の発酵槽を使用し、全自動で撹拌作業を行い、堆肥化させる方式
発酵⽇数 (⼀次処理) |
10⽇〜16⽇ |
---|---|
施設 必要⾯積 |
⼩規模 |
臭気 対策 |
◎ 容易 |
適⽤ 畜種 |
養豚・養鶏 (酪農) |
初期投資 費⽤ |
⼤ |
材料を定期的に機械で撹拌し、少しずつ移動させながら堆肥化させる方式
発酵⽇数 (⼀次処理) |
30⽇〜60⽇ |
---|---|
施設 必要⾯積 |
中規模 |
臭気 対策 |
△ 難しい |
適⽤ 畜種 |
養豚・養鶏 (酪農・肥育牛) |
初期投資 費⽤ |
⼤ |
ショベルローターなどを運転して切り返しを行い、長時間の堆積で堆肥化する方法
発酵⽇数 (⼀次処理) |
30⽇〜90⽇ |
---|---|
施設 必要⾯積 |
大規模 |
臭気 対策 |
△ 難しい |
適⽤ 畜種 |
酪農・肥育牛 (養豚) |
初期投資 費⽤ |
少 |
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