堆肥のにおいが気になる場合には、「竹酢液」や「木酢液」を使用して対策を行う方法が考えられます。これらは炭を作る過程でできる副産物ですが、燻製のような強烈なにおいがします。
「竹酢液」や「木酢液」には、アンモニア臭を分解する働きがありますので、においを和らげることができます。さらに、土にも良いものなので、昔から使われてきた方法でもあります。
ただし、「竹酢液」や「木酢液」自体が強烈なにおいがするため、まいた場所で野焼きをしたのかと思うほど強い煙のにおいを感じること、さらににおいを全て分解するのではなく、あくまで「和らげる」というイメージに近い点には注意が必要です。
堆肥のにおい対策として、「ニオワンダー」という有機消臭剤を使用する方法もあります。これは、バイオの力で悪臭を分解する働きを持っているものですが、化学薬品を全く使用していない点が大きな特徴。土に悪い影響を与えず、有用微生物の力により土にとって良い働きをします。さまざまな場面で使用されている消臭剤であり、たとえば畜舎や動物園におけるにおい消し、コンポストや生ごみ置き場のにおい消しなどに用いられています。
このニオワンダーは、「大腸菌(糞尿臭の原因)」「シュードモナス菌(腐敗臭)」「黄色ブドウ球菌(アンモニア臭)」に優れた効果を発揮するとされていますので、堆肥のにおい対策について非常に期待できる方法であるといえるでしょう。
完熟堆肥のにおいですが、うまく作れた場合には少しカビくさいような土のにおいがする点が特徴となっています。多少のにおいは感じるものの、適切に管理を行い作った場合には、我慢ができないほどの悪臭がすることは通常はありません。
堆肥を作る場合には、家畜のふん尿や稲わら、落ち葉などを積みます。その後、微生物の働きによって分解させた後に有機物が残り、堆肥となります。この時に微生物にしっかり働いてもらい、有機物を分解していくには、適度な水分・十分な酸素が必要となるために、2週間に1度程度攪拌作業(=切り返し)を行っていきます。さらに、乾きすぎている場合には、適度に水を与えることもポイントとなってきます。このように、正しく管理が行われている場合には、堆肥の山の温度は70℃以上に上がって作物に害を与える病害虫や雑草の種が死滅し、完熟堆肥と呼ばれる状態になります。
完熟堆肥の場合、我慢できないほどの悪臭がしないことは、上記でご紹介している通りです。そのため、もしも堆肥からアンモニアのような刺激臭や、まるでドブのような悪臭がする場合には、まだ有機物が分解の途中であるといえます。
この場合は、水分が多すぎる、攪拌作業が不良といった形で酸素が不足した状態になっており、微生物が窒息死してしまったことが考えられます。こうなると、酸素不足でも活動できる一部の微生物によって有機物が中途半端に分解されてしまい、堆肥作りがうまく進まなかったために未熟な堆肥となってしまったといえます。このことから、堆肥作りを行う場合には適切な管理を行うことが大切です。
堆肥のにおいを軽減したいと考える場合には、土に直接埋める方法があります。この方法を使用すると、においを減らすとともに、土の栄養としても役立てられるなどのメリットもあります。ただし、野菜などの根に近いところに埋めすぎた場合には、「肥料やけ」などにより根がダメージを受けることがあるため、注意して埋め込みを行う必要があります。
においへの対策として、発酵の促進を行う方法もあります。もちろん堆肥が発酵する過程ではにおいの発生は避けられませんが、発酵を促進させることによって早期に気になるにおいを減少させられるため、気になる場合には試してみることがおすすめです。
堆肥を撒く場合のポイントは、適量を土の中によく混ぜ込んでいくことです。目安としては、1平方メートルあたり2〜3kgを目安に堆肥を巻いた後、くわなどを使用してよく耕していきます。たとえば家庭菜園など狭い範囲で堆肥を用いる場合には機械などは必要ありませんが、大型農園などの場合には、散布機を使用して堆肥を効率的に撒いていくことが大切です。
また堆肥を使用するにあたって、においを抑えるためにニオワンダーなどの消臭剤を使用する場合には、決められた希釈比率に従って使用することが重要です。植物への影響をできるだけ小さくしましょう。
堆肥を使う場合にはいつのタイミングで撒けば良いのか、という点で迷ってしまうことがあるかもしれません。撒くタイミングは、土がどのような状態になっているかに加えて、植物の成長サイクルに合わせて撒く必要があります。
堆肥はどのくらいのにおいであれば植物に良い影響を与えてくれるのかは、においで判定することがわかりやすいといえます。この時には、まず堆肥を一握り手にとってにおいを嗅いでみてください。さらに、堆肥に水をかけ、一晩置いた堆肥のにおいを嗅いでみてください。この状態だとどのようなにおいなのかがよりはっきりと判断できるでしょう。
では、具体的にどのようなにおいであればどんな状態の堆肥なのかを見ていきましょう。
堆肥から「くさい」「どぶのようなにおい」がする場合、これは腐敗臭です。この状態の堆肥は害があるため使用できません。
「アンモニア臭」「刺激臭」がする堆肥は、未熟堆肥の状態であるといえます。未熟堆肥をやむを得ず使用しなければならない場合には、注意が必要です。これは、未熟堆肥の場合には病原菌の繁殖を招いてしまうことも多いためです。
「木(針葉樹)」のにおいは、バーク由来のもの。堆肥自体は未熟な堆肥であるといえます。
堆肥から甘酸っぱいにおいがする場合は、未熟堆肥の状態または嫌気発酵の堆肥である状態です。
8割程度分解が進み、発酵が終わりかけている状態の堆肥は、香ばしいにおいがします。
発酵が終わって、有機物の分解がほとんど進んでいる状態だと、「無臭」「土のにおい」がします。
堆肥化を行う方法は、撹拌に機械を使う方法(密閉・開放)、堆肥舎で堆積する方法の2種類、3タイプ。
どの方法が適しているかは、何を重視するかで異なります。
断熱密閉された円形の発酵槽を使用し、全自動で撹拌作業を行い、堆肥化させる方式
発酵⽇数 (⼀次処理) |
10⽇〜16⽇ |
---|---|
施設 必要⾯積 |
⼩規模 |
臭気 対策 |
◎ 容易 |
適⽤ 畜種 |
養豚・養鶏 (酪農) |
初期投資 費⽤ |
⼤ |
材料を定期的に機械で撹拌し、少しずつ移動させながら堆肥化させる方式
発酵⽇数 (⼀次処理) |
30⽇〜60⽇ |
---|---|
施設 必要⾯積 |
中規模 |
臭気 対策 |
△ 難しい |
適⽤ 畜種 |
養豚・養鶏 (酪農・肥育牛) |
初期投資 費⽤ |
⼤ |
ショベルローターなどを運転して切り返しを行い、長時間の堆積で堆肥化する方法
発酵⽇数 (⼀次処理) |
30⽇〜90⽇ |
---|---|
施設 必要⾯積 |
大規模 |
臭気 対策 |
△ 難しい |
適⽤ 畜種 |
酪農・肥育牛 (養豚) |
初期投資 費⽤ |
少 |
堆肥を探している耕種農家さんと堆肥を使って欲しいコンポユーザーさんを繋ぐマッチングサイトをはじめ、堆肥のペレット化のメリット、省スペースで設置が可能なおすすめマシンを紹介します。