このページでは、堆肥プラント(堆肥化設備)を新設する際に利用可能な税金の優遇制度について解説しています。
経営力向上計画とは、中小企業や中堅企業の経営力向上を税制面・金融面からサポートする中小企業庁の取り組みの一つです。 サポートの対象は、設備投資や人材育成などに要したコスト。堆肥プラントの新設コストについても、設備投資としてサポートの対象となります。
サポートを希望する場合には、所定の様式で中小企業等が経営力向上計画を作成し国へ申請することが必要です。申請が国から認定されれば、次のようなサポートを受けられます。
引用元:中小企業庁|中小企業等経営強化法 経営力向上計画策定の手引き
上記のうち、「中小企業経営強化税制(即時焼却等)」については、即時焼却または法人税・所得税のうち最大10%の税金控除(税額控除)を受けられます。同税制の詳細は後述します。
また、「必要な資金繰りを支援」については、中小企業向けとして「信用保証協会による信用保証の枠の拡大など」、中堅企業向けとして「独立行政法人中小企業基盤整備機構の債務保証など」が用意されています。
なお、認定を受けられる事業者には、従業員数2,000名以下という条件があります。会社だけではなく個人事業主も認定の対象です。
中小企業投資促進税制とは、青色申告書を提出する中小企業等が指定期間内(平成10年6月1日~令和5年3月31日)に新品の機械・装置などを取得または製作し国内で指定事業の用に供した場合、その事業年度における特別償却または税金控除(税額控除)を認める制度です。堆肥プラントを新設した際も、同制度の対象となります。
特別償却の償却限度額は、普通償却限度額に対し、基準取得額の30%相当額を加えた金額になります。 なお堆肥プラントの基準取得価額は、設備の取得価額の100%となります。
青色申告を行っている法人のうち、中小企業者または農業協同組合等もしくは商店街振興組合が特別償却の対象となります。 これらのうち中小企業者については詳細な規定があるため、以下の国税庁の公式HPをご確認ください。
国税庁|No.5433中小企業投資促進税制(中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除)
税額控除の限度額は、基準取得価額の7%相当額になります。
なお、税額控除限度額が事業年度の法人税額の20%超となって税額控除限度額の全額を償却しきれなかった場合、1年間に限り繰り越しが認められます。
青色申告を行っている法人であることを前提に、上記「特別償却の対象事業」となる中小企業者のうち、資本金の額もしくは出資金の額が3000万円以下の法人または農業協同組合等もしくは商店街振興組合が対象事業となります。
中小企業投資促進税制の適用の条件として、適用対象資産と指定事業が定められています。
適用対象資産は、原則として新品の設備等のうち、指定期間内に取得・製作して指定事業の用に供したものとなります。また、該当する資産のうち、たとえば以下のような条件を満たさなければなりません(一部国税庁の公式HPより引用)。
一部引用:国税庁|No.5433中小企業投資促進税制(中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除)
指定事業は次に挙げる事業です。
製造業、建設業、農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、採石業、砂利採取業、卸売業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、ガス業、小売業、料理店業その他の飲食店業(料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する事業にあっては、生活衛生同業組合の組合員が行うものに限ります。)、一般旅客自動車運送業、海洋運輸業、沿海運輸業、内航船舶貸渡業、旅行業、こん包業、郵便業、情報通信業、損害保険代理業、不動産業、駐車場業、物品賃貸業、学術研究、専門・技術サービス業、宿泊業、洗濯・理容・美容・浴場業、その他の生活関連サービス業、映画業、教育、学習支援業、医療、福祉業、協同組合(他に分類されないもの)およびサービス業(他に分類されないもの)
引用:国税庁|No.5433中小企業投資促進税制(中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除)
参照:国税庁|No.5433中小企業投資促進税制(中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除)
中小企業経営強化税制とは、先に説明した「経営力向上計画」に関連して儲けられた優遇税制です。青色申告を提出する中小企業等のうち、生産性を高めるための設備(堆肥プラントを含む)を取得して申請が認められた場合、特別償却または税金控除(税額控除)が認められる制度です。
特別償却の限度額は、取得価額から普通償却限度額を控除した金額となります。普通償却限度額とあわせ、取得価額の全額を即時償却できることになります。
税額控除の限度額は、対象となる設備等の取得価額の7%相当額となります。ただし、資本金または出資金の額が3000万円以下の場合には10%相当額が限度額となります。
なお、税額控除限度額が事業年度の法人税額の20%超となって税額控除限度額の全額を償却しきれなかった場合、1年間に限り繰り越しが認められます。
中小企業投資促進税制の適用の条件として、適用対象資産と指定事業が定められています。
適用対象資産は、原則として新品の設備等のうち、一定規模以上のものとされています。一定規模とは、具体的に次の通りです。(一部国税庁の公式HPより引用)。
1台または1基の取得価額が160万円以上のもの
1台または1基の取得価額が30万円以上のもの
1台または1基の取得価額が60万円以上のもの
一部引用:国税庁|No.5434中小企業経営強化税制(中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除)
指定事業は、上記「中小企業投資促進税制」と同じです。
中小企業促進税制(以下「促進税制」)と中小企業経営強化税制(以下「経営強化税制」)の違いについて、堆肥プラントに該当する可能性のある部分をまとめました。
固定資産 | 促進税制 | 経営強化税制 |
---|---|---|
機械装置 | 単価160万円以上 | 単価160万円以上 |
工具 | 単価120万円以上 または期中合計120万円以上+単価30万円以上 | 単価30万円以上 |
ソフトウェア | 単価70万円以上 または期中合計70万円以上 | 単価70万円以上 |
車両運搬具 | 下限なし | 対象外 |
器具備品 | 対象外 | 単価30万円以上 |
建物附属設備 | 単価60万円以上 |
資本金等の額 | 促進税制 | 経営強化税制 |
---|---|---|
3000万円以内 | 取得価額×7% | 取得価額×10% |
3000万円超 | 対象外 | 取得価額×7% |
固定資産 | 促進税制 | 経営強化税制 |
---|---|---|
機械装置 | 取得価額×30%+普通償却限度額 | 取得価額×100% |
工具 | ||
ソフトウェア | ||
車両運搬具 | 対象外 | |
器具備品 | 対象外 | 取得価額×100% |
建物附属設備 |
資本金等の額 | 促進税制 | 経営強化税制 |
---|---|---|
3000万円以内 | 取得価額合計の約8% | 取得価額合計の約12% |
3000万円超 | 対象外 | 取得価額合計の約8% |
堆肥化を行う方法は、撹拌に機械を使う方法(密閉・開放)、堆肥舎で堆積する方法の2種類、3タイプ。
どの方法が適しているかは、何を重視するかで異なります。
断熱密閉された円形の発酵槽を使用し、全自動で撹拌作業を行い、堆肥化させる方式
発酵⽇数 (⼀次処理) |
10⽇〜16⽇ |
---|---|
施設 必要⾯積 |
⼩規模 |
臭気 対策 |
◎ 容易 |
適⽤ 畜種 |
養豚・養鶏 (酪農) |
初期投資 費⽤ |
⼤ |
材料を定期的に機械で撹拌し、少しずつ移動させながら堆肥化させる方式
発酵⽇数 (⼀次処理) |
30⽇〜60⽇ |
---|---|
施設 必要⾯積 |
中規模 |
臭気 対策 |
△ 難しい |
適⽤ 畜種 |
養豚・養鶏 (酪農・肥育牛) |
初期投資 費⽤ |
⼤ |
ショベルローターなどを運転して切り返しを行い、長時間の堆積で堆肥化する方法
発酵⽇数 (⼀次処理) |
30⽇〜90⽇ |
---|---|
施設 必要⾯積 |
大規模 |
臭気 対策 |
△ 難しい |
適⽤ 畜種 |
酪農・肥育牛 (養豚) |
初期投資 費⽤ |
少 |
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