燃やすことができるゴミの多くを占めるといわれる生ごみを減量・資源化することは、循環型社会の推進のために欠かせません。各々の地域の行政も生ごみの減量・資源化のための取り組みを支援して、生ごみ堆肥化事業を実施しています。ここでは、生ごみ堆肥化事業についてまとめました。
生ごみ堆肥化事業とは、燃やすことができるゴミを分別収集し、堆肥化することによって、生ごみの減量・資源化を推進する事業です。堆肥化できる生ごみを微生物によって堆肥にすることで、生ごみの再利用を実現しています。
できあがった堆肥の再利用先は、主に畜産業の飼料や農業の肥料です。昨今、畜産業の飼料や農業の肥料の多くは輸入に依存しており、万が一の際に価格高騰などの影響を受ける可能性があります。国内の生ごみから堆肥づくりを進めることで、畜産業や農業の従事者へ安定したコストで飼料や肥料の供給ができるというメリットがあります。
生ごみ等の飼料化・堆肥化は、地方自治体、NPO・NGO、廃棄物処理業者、食品事業者、消費者等が関わっており、家庭菜園用の堆肥づくりからプラントでの製造・販売まで実施しています。
課題としては、季節により堆肥の需要が異なるため、時期によっては製造コストの回収ができず、保管コストが増加することがあげられます。また、長期保管による品質の劣化が起こる点もネックといえるでしょう。他にも排出される段階での異物混入も課題となっています。
生ごみの堆肥化は地域の循環型社会の形成に重要な事業であり、地方自治体もモデルケースをつくるべく事業を計画・実施しています。生ごみ堆肥化施設の建設だけでなく、再利用堆肥の普及やそれから生産される製品の購入まで考え、総コストを下げていくことが必須です。
各々の自治体がこうした生ごみ堆肥化モデル事業を実施し、生ごみの再利用から循環型社会形成までを知恵を出しながら取り組んでいます。
循環型社会の推進のため、国も市町村単位での堆肥化プラント建設に補助金(循環型社会形成推進交付金・地域バイオマス利活用交付金など)を支給しています。
バイオマスタウン構想を立てたうえで申請を行うことで、堆肥化施設の建設に際して環境省や農林水産省から補助金が支給されます。また、生ごみのリサイクル・堆肥化施設だけでなく、畜糞やし尿等の再生施設も対象にすることが可能です。
循環型社会の推進のためには生ごみの堆肥化事業は不可欠です。国も循環型社会形成推進交付金・地域バイオマス利活用交付金を制度化し、地方自治体も地域の生ごみの再利用を進めるために様々な取り組みを実施しています。それぞれの地域で最適な堆肥化事業を構築することが、地域の創造性にも寄与することにつながるといえるでしょう。
各家庭で生ごみを水切り・保管できるよう専用の水切り容器を配布しており、ごみステーションなどに設置された収集容器で毎週生ごみを回収・堆肥化を実施しています。
阿久根市では、中部エコテック株式会社の密閉型攪拌方式(コンポ)の堆肥化プラントを使用。約2週間程度で生ごみから「あくね生ごみ再生肥料」に変えられます。
生ごみからできた堆肥「あくね生ごみ再生肥料」は1袋10キログラム入りで市民に無料で配布され、家庭菜園や花壇などに広く活用されています。
堆肥化を行う方法は、撹拌に機械を使う方法(密閉・開放)、堆肥舎で堆積する方法の2種類、3タイプ。
どの方法が適しているかは、何を重視するかで異なります。
断熱密閉された円形の発酵槽を使用し、全自動で撹拌作業を行い、堆肥化させる方式
発酵⽇数 (⼀次処理) |
10⽇〜16⽇ |
---|---|
施設 必要⾯積 |
⼩規模 |
臭気 対策 |
◎ 容易 |
適⽤ 畜種 |
養豚・養鶏 (酪農) |
初期投資 費⽤ |
⼤ |
材料を定期的に機械で撹拌し、少しずつ移動させながら堆肥化させる方式
発酵⽇数 (⼀次処理) |
30⽇〜60⽇ |
---|---|
施設 必要⾯積 |
中規模 |
臭気 対策 |
△ 難しい |
適⽤ 畜種 |
養豚・養鶏 (酪農・肥育牛) |
初期投資 費⽤ |
⼤ |
ショベルローターなどを運転して切り返しを行い、長時間の堆積で堆肥化する方法
発酵⽇数 (⼀次処理) |
30⽇〜90⽇ |
---|---|
施設 必要⾯積 |
大規模 |
臭気 対策 |
△ 難しい |
適⽤ 畜種 |
酪農・肥育牛 (養豚) |
初期投資 費⽤ |
少 |
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